「どうして…
なんで笑いたくない時まで、無理して笑うんですかっ…?」
「…あ、明菜?
いきなり何、言って…」
目、赤いよ。
もっと、弱さを見せて。
もっともっと、あたしに近付いて。
「寂しい時は寂しいって…そう言えば良いじゃないですか…!
あたしは…
あたしは先輩の、笑った顔が好きなんです。
あたしは先輩の笑顔を見ていると…幸せな気持ちに、なれるんです」
あたしの中の先輩は、
いつだって明るい笑顔で。
だけどその笑顔の裏にはいつだって、
こんな闇が隠れていたのかもしれない。
「今の先輩は、笑ってません。
そんな無理して笑ったって、見てて辛いだけです…!
あたしは今の先輩の笑顔を見ても――…幸せな気持ちになんて、なれません」
だって、そうじゃない。
あたしは確かに、先輩のことを何一つとして知らない。
だけど泣きそうな顔をして、笑っている先輩を見るのは…
――…辛いよ…

![[新連載]君への想い、僕らの距離。](https://www.no-ichigo.jp/assets/1.0.774/img/book/genre1.png)