知りたかったけど、
知りたくなかった…そんな、先輩の過去。
どうして先輩は、それをあたしに話したんだろう。
その話を聞いて、あたしはどうしたら良いんだろう。
あたしは、どうすれば良いのかな?
あたしは…先輩のために何をしてあげられるの…?
「…それからかな。
なんか、女の子とそういうことを始めたのは。
気付いたら…
お金をもらって、女を抱いてた。
お金をもらって、その金で樹里にプレゼントをした。
周りからは“女好き”とか“女タラシ”とか…
確かにいろいろ言われてたけどさ。
別に、良かったんだ。
それくらい、俺にとってはどうってことなかった。
一人では…いたくなかった。
一人は…寂しいから」
ほら。また、笑った。
どうして、笑うの?
そんな、泣きそうな顔をしてまで…
…先輩、見てるこっちの方が、辛くなるよ。
「…どうして、笑うんですか」
だから―――あたしを見てよ。

![[新連載]君への想い、僕らの距離。](https://www.no-ichigo.jp/assets/1.0.774/img/book/genre1.png)