だから先輩が、責任を感じるんだ――…
「先輩は…
どうして樹里さんが――彼女が、いるのに…
あたしと付き合ったんですか?」
気付けばあたしは、そう口走っていた。
そんなことが言いたいわけじゃないのに、無意識に言葉は口から紡がれて止まらなくて。
「別に…あたしが先輩のことを好きでも嫌いでもっ…
先輩にとってはどうでもいいことじゃないですか…!
あたしが先輩とたった1週間付き合ったからって…」
足首に触れていた先輩の手に、一瞬力が込められた気がした。
固い表情を浮かべたまま、先輩は何も口にすることはなく。
「なんで…ゲームなんて始めたんですか…
なんで…相手にあたしを選んだんですかっ!
あたし…あたしはっ…!」
知らないうちに、涙が溢れて、止まらなくなってて…
あたしは…
先輩をこんなに好きになるくらいなら…
先輩を想ってこんなに苦しくなるくらいなら…

![[新連載]君への想い、僕らの距離。](https://www.no-ichigo.jp/assets/1.0.773/img/book/genre1.png)