「――でも…
どんなに小さなことだとしても、同じ想いを共有出来るって…何か、良いよね」
そう、言って。
先輩がそっとあたしの足に触れた。
急に触れられて、思わずドキンと胸が高鳴る。
「…やっぱり少し腫れてるな…
ごめんな、俺のせいで」
申し訳なさそうな声で。
どこか困ったような表情さえ浮かべながら。
先輩が俯いて、あたしにそう言うから。
「そんな…っ先輩のせいじゃないですっ!
ただあたしが勝手に転んじゃっただけで…」
「――俺のせいだよ」
怪我をしたあたしの足首に触れたまま、
俯いていた先輩は顔を上げてあたしの目を見つめると…そっと、つぶやいた。
「樹里のせいなら…俺のせいだよ」
“樹里のせいなら”…?
どうして樹里さんのことで、先輩が責任を感じる必要があるの?
だって先輩は、何もしていないのに。
――ああ、そっか。
樹里さんが、先輩の彼女だから。

![[新連載]君への想い、僕らの距離。](https://www.no-ichigo.jp/assets/1.0.761/img/book/genre1.png)