「――でも…

どんなに小さなことだとしても、同じ想いを共有出来るって…何か、良いよね」





そう、言って。
先輩がそっとあたしの足に触れた。

急に触れられて、思わずドキンと胸が高鳴る。





「…やっぱり少し腫れてるな…

ごめんな、俺のせいで」




申し訳なさそうな声で。

どこか困ったような表情さえ浮かべながら。

先輩が俯いて、あたしにそう言うから。





「そんな…っ先輩のせいじゃないですっ!

ただあたしが勝手に転んじゃっただけで…」



「――俺のせいだよ」





怪我をしたあたしの足首に触れたまま、
俯いていた先輩は顔を上げてあたしの目を見つめると…そっと、つぶやいた。





「樹里のせいなら…俺のせいだよ」





“樹里のせいなら”…?

どうして樹里さんのことで、先輩が責任を感じる必要があるの?

だって先輩は、何もしていないのに。


――ああ、そっか。

樹里さんが、先輩の彼女だから。