家の前にいる女の子は目の前の六人を見てニコニコと笑っています。対照的に男の子は、四人を睨みつけています。

この子たちが何者かなんて、さっきの女の子の言葉で、全員が理解できました。

「名前は?」

夜昂が女の子の前にしゃがんで視線を合わせました。名前を尋ねると女の子が大きな声で答えました。

「綾倉月乃花です。こっちは、ひかちゃんです」

「バカ、違うだろ。遠坂陽花利。これ、執事から」

男の子が切れにたたまれた紙を夜昂に差し出しました。執事という言葉に唖然としながら夜昂は受け取った紙を開きました。夏昼と朝想は、その手紙を携帯の明かりで照らしながら横から覗き込みました。

流麗な文字で、後日、伺うとだけ書いてありました。

夜昂の眉間に少しだけ皺がよったのを夏昼は見逃しませんでした。

「兄貴、中に入ろうぜ。夜食食うんだろ?」

「そうだな」

夏昼は兄が落とした鍵を拾うと、ドアを開けました。弟たちを入るように促しながらも三人は月乃花と陽花利の首筋の星の痣があることを見逃しませんでした。

「言わずもがなってやつだな。あのオヤジ、百発百中か?しかも、執事とかっていってたよな?どこのお坊ちゃまたちだよ」

「チビたちの前で、下ネタ禁止。いずれ分かるだろうよ。それより今は、お茶漬けの元が人数分あるかどうかが気がかりだ」

「敗者は、卵かけごはんですね」

夜昂は、二人の方をポンと叩いてから中に入りました。