夏昼が二歳の時に、夜昂の母親は亡くなりました。それからはずっと夜昂が面倒を見てくれて育ててくれました。

 夜昂が勇獅たちとするようにネクタイを結んでくれたりしたのです。優しく笑って、ギュッっと抱きしめてくれました。流石に今ははやって欲しいと思いませんが、懐かしく思うのです。

「ブラコン」

 いつの間にか、朝想が後に立っていてそう囁いて、立ち去って行きました。

「朝想、てめぇ!」

「夏昼!さっさと行って来い!」

 朝想を追いかけようとした時、兄に怒鳴られてしまい、夏昼は怒りが収まらない二階に上がる羽目になってしまいました。

「くそー、朝想の奴」

 そうは言っても半分図星を突かれようなもので、夏昼は言い返せる自信は正直ありませんでした。我が弟ながら余計な眼力を身につけたものだと思いました。

 夏昼がシャワーを浴びてフォーマル着に着替えてくると、父が帰って来ていました。

「全員揃ったな」

「父さん、聞くまでもねぇけど、勇獅と理生の席も追加したんだろな?」

「あぁ。大丈夫だ」

「僕が念のためにメールを入れておきましたから」

 三男が言葉の上の二人は、冷めた視線を向けました。勘の良い弟を誉めるべきか、父の不甲斐なさを責めているのがは二人の視線が物語ってました。