「何かあったの?」
お弁当を開くなり、菜未ちゃんがそう聞いてきた。
唐突すぎて「…え、」と、いかにも胸の内を当てられたような声をあげてしまうあたし。
菜未ちゃんは、迷うことなく数あるおかずの中から唐揚げを選ぶと、それを頬張りながら言った。
「今日の柚果、朝からぼんやりしすぎ。」
「………、」
言われてみれば、今日授業で何を学んだか覚えてない。
気が付くとこうして菜未ちゃんとお弁当を囲む時間になっていて。
「あたしでいいなら、話聞くけど。」
と菜未ちゃんに言われ、あたしは教室の喧騒に紛れながらふと考えた。
…相談なんて、してもいいんだろうか。
信じる、と言った手前
こんな事を話すのは何だか違う気がする。
でも、一人で考えているとすぐマイナスの方向へ考えてしまって、どうしようもなく不安になるんだ。
…だから。
「…菜未ちゃん。」
「んー?」
「……知ってる事、全部教えて欲しいの。」
だから、知りたい。
ちゃんと本当の事、全部。

