それからだ。
あたしが居場所を失ったのは。
ズタズタに傷つけられたココロが、一人の教室で深く扉を閉ざしたのだ。
タバコに手を出したのは、中学3年に上がった頃だったと思う。
その頃すでに一人で居るのが当たり前で。
瞳ちゃんとは3年になってからも同じクラスだったけれど、一度も口をきく事はなかった。
これは、そんな時に聞いた話。
…いや、聞くつもりなんてなかったんだけど、たまたま聞いてしまったんだ。
「にしても、瞳もヒドイよねぇ。」
「だよねー。自分から瀬名に近づいたくせに、いらなくなったらポイだもん。」
「まっ、確かに瀬名はキレイで目立つからね。」
「けど、それが気に入らないからって、あれはありえなくない?」
「いいんじゃん?うちらには関係ないしー。」
「確かにっ!」
きゃはは、と響く笑い声。
あたしはそこから動けずに、力なくトイレの個室で立ち尽くした。
…そう、瞳ちゃんは。
最初から、それが目的だった。
ただでさえ
目立つあたしと居る事で
自分も注目されようと
あたしに近づいて。
でも、男子からの人気を集めた途端、あたしという存在はいらなくなったのだ。
だから
あたしが、邪魔になったんだ。

