「やっぱ柚果だっ!」
「……瞳ちゃん、」
――嫌な予感は的中した。
「久しぶりだね~、中学卒業以来?」
「…う、うん…。」
久々の再会に、やけにテンションの高い瞳ちゃんに、あたしの顔が雲ってゆく。
あたしは無意識に、繋いだ手に力を込めていた。
――藤川 瞳(フジカワ ヒトミ)
彼女はあたしと同じ中学、同じクラスだった子で。
アーモンド型の大きな目に、ふわっとしたクセ毛が可愛い、と中学の頃から人気だった。
所謂、クラスの中心的存在。
彼女が居れば、自然と周りに人が集まるし、男子からも女子からも好かれるような女の子。
そんな瞳ちゃんは、ずっとあたしの親友だった。
――中2の、秋までは。
「もしかして、柚果の彼氏?」
その問い掛けが、あたしを過去の記憶から呼び戻した。
「…あ、う、うん。」
慌てて返事を返し、香椎くんを見上げる。
だけど―――。

