香椎くんが連れて来てくれたのは、駅から少し離れた場所にある水族館だった。
結局、あたしは行きたい所も決められず、香椎くんに任せっぱなし。
申し訳ない気持ちはあったけど、そんな思いは久々の水族館で消え去った。
「見て見て!香椎くん、クラゲ!」
「すごい綺麗な魚っ!」
「ねぇ、イルカショーあるんだって!」
パンフレットを片手に、二人で水族館を見て回る。
しばらくして
ふと我に返った。
…あ、あれ?
もしかして、あたしハシャギすぎ?
振り返ってみると
案の定、香椎くんは笑いを堪えていて。
急に現実に引き戻され、恥ずかしくなったあたしは消え入りそうな声で呟いた。
「…ごっ、ごめんね、」
「んー?」
尚も笑いを抑え、香椎くんがあたしを見下ろす。
穴があったら入りたい、とはまさにこの事。
滅多に来られない場所に、我を忘れ浮かれ過ぎてしまった。
恥ずかしい…っ!

