それでも、すき。



窓から降り注ぐ木漏れ日が、香椎くんの髪をキラキラと射す。

それだけで
この胸は正直な程、高鳴るんだから困ったもんだ。


こんなにも、香椎くんが好きだと思い知らされる。

自分じゃもう、止められないくらいに。




「おかえり。」

そう言って、香椎くんがちょこんと横に座ったあたしを後ろから抱きしめる。

きゅん、と聞こえた胸の奥。



“おかえり”

その言葉が、あたしを温かくさせた。


あぁ、あたしはここに
香椎くんの隣に、居ていいんだ。

香椎くんの腕の中が
あたしの居場所なんだ、と感じる瞬間。




…でも。

その分、たまに不安になる。



この幸せが
いつか誰かにさらわれて

いつか、香椎くんが他の人に盗られちゃうような気がして。



ふと、怖くなったり。

不安でどうしようもなくなるんだ。




「…ゆの、いい匂い。」

香椎くんは後ろから首すじに顔を埋め、猫みたいに甘える。