最悪な中学時代を経て
片道1時間半の高校に進学したあたしは、外見をガラリと変えた。

よく“高校デビュー”なんて言葉を耳にするけれど、あたしの場合、それとは真逆だ。



長く伸ばした髪をみつあみにして、ダテメガネを掛ける。

スカートは買った時のまま。

誰とも喋らず、教室では小説を読む毎日。


とにかく目立たないように心がけた。



するとどうだろう。

あんなに暴言を吐かれた毎日は消え、あたしはすんなりと高校生活に馴染む事が出来たのだ。


馴染む、というには違和感があるけれど、それでもイジメられる事はなくなった。

あると言えば面倒な事…例えばクラス委員長を任されるなど、その程度の事だけで。


まるであの日々が嘘だったかのように、あたしの毎日は穏やかなモノに変わった。


そして、改めて思ったんだ。



あたしは“あたし”ではなく
“委員長”で居れば

イジメられる事はない。



自分を隠していれば
目の敵にされる事もないのだと。