そんなあたしを見て、菜未ちゃんは言う。


「柚果、もしかして―――。」

「西野!」


だけど菜未ちゃんの言葉は、他の人の声によって遮られた。


胸に手をあてたまま
菜未ちゃんと二人、声のする方へ顔を向けると。


「悪い、ちゃんと言うの忘れてた!」


さっき香椎くんを遊びに誘った飯島くんが教室の入り口に居て。



「これ、ありがとな!」


彼が持ち上げたその紙袋に、時が止まった。



―――その袋、まさか……。




「うん、大事にしてよねー!」

「わかってんよ!」


手を振り合う二人を、呆然と見つめる。



そして、振り返った菜未ちゃんが言った。


「これでわかった?」

「…え?」


言葉の意味がわからず、素っ頓狂な声を出すあたしに菜未ちゃんは優しく笑う。




「あたしの好きな人。」