ドクン、と心臓が波打った。
息も出来ない程、苦しいくらいに。
「んだよー、またぁ?」
「悪いな。また今度誘って。」
「はいよー。」
ひらひらと手を振る飯島くんが、教室を出てゆく。
しばらくして香椎くんも教室を出て行って。
「…柚果?」
菜未ちゃんに声を掛けられた瞬間、自分が震えている事に気が付いた。
「ちょっ、柚果!?大丈夫!?」
「………っ、」
「どこか具合でも悪いの!?」
あたしはズルズルと崩れ落ち、黙って菜未ちゃんに首を振る。
…違う、違うの。
ただ、どうしたらいいのかわからない。
胸が痛くて。
ココロが、苦しくて。
“音楽室で待ち合わせしてんだ”
あの場所は
音楽室は、あたしと香椎くんにとって
二人の秘密を、共有出来る場所だったから。
あそこで香椎くんが、他の子を―――。
そう思うだけで、ココロが潰されそうになるの。

