それでも、すき。



放課後、菜未ちゃんに連れて来られたのは男物のお店だった。


所狭しと並べられる洋服やらアクセサリー。

品定めをする菜未ちゃんを眺めながら、心の中で“しまった”と思った。


「どっちがいいかなー。」

なんて言いながらマフラーを選ぶ菜未ちゃんは、心なしか楽しそう。


…香椎くんにあげるんだ。

そう気付いた時
あたしはあたしで、憂鬱が色濃くなるのを感じ泣きそうになった。



それから一時間程してお店を出た頃、すでに太陽は傾き街の明かりが眩しさを増していた。


「ありがと、柚果!付き合ってくれて。」

「ううん。」

「明日、好きな人の誕生日なんだよね。って言っても片思いなんだけど!」


あはは、と菜未ちゃんの笑い声が響く。

言葉とは逆に、その声はちっとも悲しそうじゃない。



そんな菜未ちゃんに苦笑いを返し、あたしはぼんやりと考えていた。