――そう、菜未ちゃんだ。
初めてちゃんと話した日から菜未ちゃんは、事あるごとにあたしに話掛けてくるようになった。
理由は他にもあるが
今まで一人で居ることに慣れていたあたしは、未だに菜未ちゃんと打ち解けられないでいる。
…もっとも、そう思っているのはあたしだけなんだろうけれど。
「ねっ、柚果今日の放課後ヒマ?」
「……どうして?」
「ちょっと買い物付き合ってほしいな~って。」
言い終わって、ミニトマトを頬張る彼女に何も答えられなかった。
…何であたしなんだろう。
菜未ちゃんには他にも友達はたくさん居るのに、何故あたしを?
そんな疑問は、次の彼女の一言によって打ち消されて。
「黙ってるって事はヒマなんだ!」
「…え、あ、」
「よーし、決まり!じゃあ今日放課後ねっ!」
ウソでしょ?勘弁してよ…。
有無を言う隙もなく決められた放課後の予定は、憂鬱に染められた。

