それでも、すき。



次の日から、香椎くんはノートを借りに来なくなった。

それはもう、面白いくらいにピタリと。


これであたしたちを繋ぐモノは何もなくなって。



相も変わらずズキズキと胸は痛むけれど、これでいいんだと何度も言い聞かせ。

あたしは普通の“委員長”に戻った。


…でも、ひとつだけ。

たったひとつ、変わった事がある。





「ゆーのかっ!」

「…わっ!」

ぼんやりとしていたら、突然叩かれた肩に思わず心臓が跳ね上がった。


振り返ると
最近では見慣れたその笑顔。


「あははっ!やだ、柚果ってば驚きすぎだよー!」

「な、菜未ちゃん、」

「んもー、菜未でいいって言ってるのに!」


そんな事言われても、いきなり呼び捨てにするなんてやっぱり気が引ける訳で。

「ごめんね」と苦笑いをするあたしに、菜未ちゃんはお構いなしに笑って言った。



「お弁当、一緒に食べよ!」