それでも、すき。




――静寂が二人を包む。

いつの間にか離れたカラダを、風が吹き付けた。


セックスの後は
いつも拭い去れない程の寂しさがあたしを襲う。

冷めてゆく温もりが、現実に引き返されるような気がして。


ココロの底が
寒くて寒くて、仕方ないんだ。





制服を着直したあたしは、転がったままのお弁当箱を拾い上げ、振り返る。

そして、背を向けながらタバコを吸う香椎くんへ言った。



「…あたし、知ってるんだよ。」


独り言のように。

本当に小さな声で。



別に香椎くんに聞こえなくてもよかった。


ただ、何となく
言葉にすれば楽になれる、そう思ったから。



だからこそ、その愛しい背中に向けて。



「あたし以外の人ともセックスしてる事、知ってるんだよ。」



最後まで
香椎くんは振り返らなかった。

それが、きっと彼の答え。




―――それが

あたしたちの関係が終わった瞬間、だった。