それでも、すき。



好きだという想いは
こんなにも愛しいと思う気持ちは

どうしたら、消えるんだろう。




「大和…っ、」

ドロドロに溶かされた思考が、温もりを探す。

ただ、求めるだけ。
ただ、奪い合うだけ。


そんな愛のない行為の先に、一体何があるんだろう。


“すき”

たったその一言が言えなくて。


何度も何度も、言いかけて
でもやっぱり、言えなくて。



失いそうになる自分を
“委員長”のあたしを、捨ててしまいたくなるの。





「…柚果、」

塞いでた唇を離し、香椎くんの指先があたしの乱れた髪をかきあげる。

その優しい手を頬に移し
熱っぽい瞳があたしを見つめて言った。




「……泣くなよ。」


香椎くんが、指先であたしの涙を拭う。


何で涙が出るのか、あたしにもわからない。

ただひとつ言えるのは
この制御不能な感情が、涙となって流れて。



「―――柚果、」



果てに近づいたその時

一瞬だけ、二人きりの世界があるような気がしたんだ。