「そ、それは…っ。」

言いかけて、言葉に詰まった。


だって、言ってどうなるの?

あたしの気持ちを伝えたところで、二人の距離は縮まらない。


いや、もしかしたら
もっと離れていくだけなのかもしれない。

それなら、言わない方がいいじゃない。




「それは…、何?」

相変わらず、香椎くんは手を止めずに問う。


その細い指先が、器用にブラのホックを外した。


「や…っ、ダメ…っ!」

「言わなきゃ止めないよ?」

「……っ、あ…!」


直接触れられた肌に、思わず体がビクリ、と跳ねる。

ギリギリのところで保ってた理性が飛んでゆく。



「…香椎く、」

「大和だってば。」

「……やま、と、」

「何?柚果。」


―――“柚果”



やっぱり、香椎くんはズルイ。


そうやって呼ばれると
あたしが逆らえないって知ってるくせに。

もう、何も考えられなくなる。


全てを、晒け出してしまいたくなる。



「やべぇ、俺止まらないかも。」




――じゃあ、全部壊してよ。