―――何で。


何で、こんな事になっちゃったんだろう。

どうしてあたしたちは、こうなっちゃったの?



「……っ、香椎く、」


ぼんやりする意識で、懸命に香椎くんの肩を押す。

けれど熱にほだされた体は、彼の力には勝てなくて。



「…もう、戻らなきゃダメだよ…っ!」

あたしの言葉は、吐息に混じって消えてゆく。



「何で?」

なのに香椎くんは、至って冷静な声で言う。


「俺と委員長が居なかったら、クラスの奴らが変に思うから?」

あたしの首元に唇を這わせ、淡々と。



「いーじゃん、別に。俺は気にしないけど?」

「…や…っ!」


抵抗も虚しく、ブラウスのボタンが外された。

空気に晒された素肌が、風の冷たさを伝えて。


香椎くんは手を止める事なく、話を続ける。



「それにもう授業始まってるよ。」

「…で、でもっ!」

「じゃあ、言えよ。」


形のいい唇が、吐き出すように冷たく言った。



「俺の、何がズルイ訳?」