それからシャワーを軽く浴び、のそのそと学校へ行く支度をすると

いつも学校へ行く時間より20分以上過ぎてしまった。


と言っても
毎日、誰よりも早く登校していたから、全く遅刻するような時間じゃない。

けど、やっぱり満員電車に揺られるのは嫌いだ。


昨日寝てないせいもあってか

学校に着く前に疲れ果て、他の生徒たちに追い抜かされながら歩いていると、ふいに叩かれた肩。



「おはよ!」

「…あ、おはよ、」

振り返った先には、菜未ちゃんが居た。


何だか目が合わせられず、あたしは俯いてしまう。

それがあたしの癖だと勘違いしたのか、菜未ちゃんは首を傾げて聞いて来た。



「柚果ってば、いつもそんな俯いてばっかりいたらダメだよ?」

「…うん、ごめん。」

って、あたしは何に対して謝ってるんだろ。



そんなあたしには気が付かず

「もー、朝から暗い~っ!」

と、菜未ちゃんはあたしの背中を叩く。



でも、痛いのは叩かれた背中ではなく、ココロ。



彼に…

香椎くんに触れた手で
触れられた手で、あたしに触れないで欲しい。


なんて、そう思う自分が酷く醜く感じる。



その時だった。