…バカらしい。

最初から、そんな事わかりきっていたはずじゃない。



香椎くんは
やっぱり香椎くんで。

あたし以外にも欲を満たしてくれる子はたくさん居るのだ。


わかってる。

あたしもそのうちの一人でしかないんだと。


わかってる、……のに。




ポタ、っと涙が手の甲に滑り落ち、また次の雫が制服のスカートを濡らした。


「……っ、」



どうして、こんなにも悲しくなるんだろう。



どうして、この心は
無意味に彼を想うのだろう。




こんなに痛いのに。

抱かれている時よりも
あたしのココロは、ずっと彼を求めていて。



触れたい、話したい。

――温もりを、感じたい。




そう思って過ごす夜は
もう数え切れない程越えてしまった。


そして改めて思い知らされる。




…それでも
香椎くんが、すき。


ただ、“すき”なんだと。