朝日が、キラキラとカーテンの隙間を縫って部屋に光を落とす。

次いで聞こえた鳥の鳴き声が、ようやくあたしにそれが朝だと知らせた。



けれど体は石になったように動かない。

と言うよりも
昨日学校から帰って来た時から、あたしはこの場所から動いてない気がする。



ぼんやりと

ただ、呆然とカーペットに視線を預ける。


着替えすらしてないあたしは、スカートを握り締め昨日の事を思い出していた。







『……大和なら、いいよ。』


揺るぎない、菜未ちゃんの声。


音楽室からは
二人のやりとりが、雨音に混じって漏れていた。

あたしはそれを、どこか他人事のように聞いていて。



『西野がいいって言うならいいけど、』

『だから、大和じゃなきゃイヤなの。』

『…後悔しても、知らねーよ?』

『後悔、なんてしないもん。』



そして追い打ちを掛けるごとく

次に菜未ちゃんが言った言葉が、あたしの耳に酷く残った。




『…痛く、しないでね。』





まるで反響するみたいに、ずっと。