「ウザいんだよ。」
始まりはそんな言葉だった。
今まで友達だと思ってたクラスメイトの視線が、鋭く尖った視線に変わった中2の秋。
――瀬名 柚果は援交してる。
あたしは突如、身も蓋もない、根も葉もない噂を立てられ
どん底に突き落とされた。
…所謂、“イジメ”
最初は言葉の暴力だった。
でも、それも次第にエスカレートして聞くに堪え難いモノになって。
“しね”と言われるのは
もはや当たり前になり、あたしの居場所はどこにもなくなっていった。
上履きは何足あっても足りない程、落書きされたり捨てられたり。
靴だって同じだった。
だから靴も上履きも持ち歩くようになった。
体操着も、制服も
あたしのモノは全て、イジメの道具として扱われた。
救いなんて、どこにもない。
親も教師も友達も。
誰もあたしに
居場所をくれなかった。

