それでも、すき。



迎えた冬休みは
何をする訳でもなく、のんびりと過ぎ去っていった。


でも、あたしにとってはちょうどよかったのかもしれない。

学校に行かなくていい日々は、ほんの少しだけココロにゆとりが出来た。


そして初詣に行こう、と
携帯を持たないあたしに、わざわざ家に電話をくれた菜未ちゃん。

二人で遠出して、電車で隣県の神社へ行った。



「あーあ。もう今年も終わりかぁ。」

「そうだね。」

「てゆーか、いい加減彼氏欲しいーっ!」

「な、菜未ちゃん声大きいよっ!」



けれど、本当は知ってるんだ。


もしかしたら
香椎くんに会ってしまうんじゃないかと、不安に思うあたしをわかっていて

菜未ちゃんが隣県の神社に行こう、と言ってくれたこと。


わざと、香椎くんの話を避けていること。



そんな菜未ちゃんの気持ちが、すごく嬉しかった。


香椎くんへの想いを、断ち切る決心をしたのは自分。

でも、一歩ずつでいいから進もう。
あたしは大丈夫。


そう思えるようになったのは、誰でもない菜未ちゃんのおかげだった。



だから、あたしはそんな菜未ちゃんへの気持ちに応えたい。


失恋と引き換えに手に入れた

“友達”を大切にしよう。


たくさんの“ありがとう”を伝えよう、って。




そして、それぞれの想いを抱え、今年は幕を閉じた。