それでも、すき。



――無意識のうちに考えてしまう。

そんな自分を、抑えた。


――ズキズキと痛い胸。

それに気が付かないフリをした。


――好きだという想い。

だからココロに、鍵を掛けた。




あたしは委員長に戻って。

香椎くんは、香椎くんのままで。


あたしたち二人は

恋人でもなく、友達でもなく、クラスメイトでもなく。


ただの赤の他人。



目なんて合わない。

会話なんてない。


それでも、同じ空間に居ることが不思議だけど

きっとこれが普通なんだと思う。



『委員長って、実は悪い子?』


あんなことがなければ、あたしたちに接点なんてなかった。


きっと話すこともなく
ましてや、好きになることなんてなく、過ぎていったんだろう。



あたしは、あたしの道を。

彼は、彼の道を。



別々に進む、それだけのこと。