ふと、思い出す。
初めて香椎くんと話した日を。
『委員長って、実は悪い子?』
余裕たっぷりの笑顔を浮かべて、彼はあたしの秘密を共有してくれた。
そして、始まったカラダだけの関係―――。
きっかけは些細なこと。
だけど、あたしは気付いてしまった。
溺れてるのは、カラダだけじゃない。
ココロも、全てが彼に染まってしまっていたんだと。
だから、彼にもそうであって欲しかった。
あたしだけを見て
あたしだけに、溺れて欲しくて。
愛してくれなくても
傍に居てくれれば、なんて全部ウソだ。
ただ、彼の隣りに居る理由が必要だった。
誰よりも、傍に居る為に。
カラダじゃなく、ココロを求めて欲しかったから。
「バカ、みたい…、」
溜め息と同時に、零れ落ちる言葉。
ココロに蓋した想いが、今にも剥がれてしまいそう。
それがあまりにもやるせなくて、机に顔を埋めた
…その時。

