それでも、すき。



―――好き。


その気持ちはどうしたら消えるんだろう。


こんなにも想ってるのに
彼のココロを占めているのは、あたしじゃなくて。

どんなに待っていても
あたしは彼の一番にはなれなくて。



苦しいのに
悲しいのに

それでも、すきなのは何故?





「……柚果。」

帰ろっか、と菜未ちゃんに手を引かれ、あたしは俯いたまま彼女についてゆく。


涙は枯れることを知らない。

情けなく泣きじゃくるあたしを、菜未ちゃんは何も言わずに肩を抱いてくれた。



すると、ちょうど駅のロータリーに差し掛かった時。



「あ、柚果!ちょっと向こうで話さない?」

と、不自然に菜未ちゃんが立ち止まる。



何で、と思ったのは一瞬で。


菜未ちゃんの肩越しに映る、見覚えのある姿。



ドクン、と胸の奥が鳴る。



「……香椎くん…。」



そして、彼に寄り添う瞳ちゃんの姿だった。