言葉に詰まり、俯くあたしに
菜未ちゃんは優しい声で続けた。
「あたし、本当は柚果みたいな子苦手だった。」
「………。」
「暗いし、ダサいし。その上、嫌味なくらい頭もいいし。」
でも、と菜未ちゃんが言葉を止める。
あたしはそこでようやく顔を上げて、菜未ちゃんを見た。
彼女は笑っていた。
とても、穏やかに。
「でも、大和が言ったの。」
「……香椎くん、が…?」
「うん。」
突然出て来た彼の名前に、思わず身構える。
けれど、菜未ちゃんの口から出た言葉はあたしの予想とは反していて。
「委員長は、本当はすごくいい子なんだ。だから、友達になってあげてよ、ってね。」
そう語る菜未ちゃんを、呆然と見つめることしか出来なかった。
「あまりに大和がしつこく言うもんだから、あたしが折れちゃって。」
「………、」
「それで、あたし思ったんだ。」
視界が滲んでく。
それは、もう流れるはずなんてないと思ってた涙で。
「あぁ、大和は本当に委員長のこと、好きなんだなぁって。」
溢れ出るのは
やっぱり、彼を想うキモチだけだった。

