香椎くんは
根っからの遊び人だ。
不特定多数の女の子に手を付けて、決して特定の彼女を作らない。
それは入学当初から
有名な話だった。
けれど、クラスメイトの女子たち曰く、香椎くんになら遊ばれてもいい!という事らしい。
実際、あたしも遊ばれているんだと思う。
……いや
思う、ではなくそうなのだ。
『委員長みたいな真面目な子が乱れてると、何か興奮する。』
初めて抱かれたあの日。
あたしの首筋に唇を這わせながら香椎くんは言った。
本当は真面目なんかじゃない、それを一番わかってるくせに、彼は言うんだ。
『…柚果、』
残酷な程
甘く、優しい声で
あたしを真っ白な世界へ導いてゆく。
終わりなんて知らない。
知りたくもない。
なのに、何故求めずにいられないのだろう。
どうして、切なくなんてなるのかな。
愛してくれなくてもいい。
二番目でも、遊びでも何でも。
このカラダと引き換えに
傍に居られるなら。
…そう思ってるのに。
“特別”を求めるなんて
あたし、どうかしてるよ。

