それでも、すき。



理由なんて
あたしにもよくわからない。


どうしてあたしなの?

他にも女の子はたくさん居るのに、何で?


そう思った事は何度もある。



香椎くんと言えば
あたしとは真逆、対照的な存在だ。

例えるならば
香椎くんは『光』であり、あたしは間違いなく『闇』に近いと思う。


そのくらい
あたしと香椎くんでは、生きる場所が違うんだ。



人懐っこい性格に
どこか抜けたような、悪く言えば天然とでも言うべきか。

外見だって、文句の言いようがないのだ。


童顔だけど、どう見ても
他の同級生を飛び抜けて端整な顔立ち。

栗色に揺れる色素のない髪は、その顔立ちを更に引き立てて。


とにかく美形、という言葉が
彼を表すのに一番相応しいと思う。



そんな彼を
周りの女の子たちが放っておくはずもなく。

同級生はおろか
上級生にまで注目を集めているというのだから、まさに香椎くんはこの学校一の人気者。


それどころか
他校の女子生徒の間でも有名らしい。



そんな香椎くんとあたしが
こんな関係だと知られたら、一体どうなるのだろう。


……考えただけで恐ろしい。