もう二度と話す事も、そして会う事もないと思ってた。
崩れてしまった二人の関係、親友という絆は、あの日からずっと修復出来ずに卒業を迎えてしまったから。
…なのに。
何故、今なんだろう。
どうして、久し振りの会話が香椎くんの事なんだろうか。
もっと違う形で再会出来ていたら、そう思わずにはいられなかった。
「本当に何も聞いてないんだ。」
瞳ちゃんからの問い掛けを、無言で返事に変える。
風が吹き、枯れ葉と共に解いた髪がふわっと舞い上がった。
ぎゅっと手のひらに力を込め、答えを待つ。
そして、しばらく考える素ぶりを見せた瞳ちゃんから返って来た言葉は、意外なものだった。
「ついて来て。」
「え……?」
「知りたいんでしょ?」
あたしと大和の事、と言われつい視線を下げてしまう。
“あたしと大和”
そう言えるくらい
瞳ちゃんは香椎くんの事…。
胸がちくり、と痛み出す。
だけどもう
あたしに迷いはなかった。
「……わかった。」
だってあたしの答えは、最初から決まっているんだから。

