それでも、すき。



「…香椎くん、」

「うん、どうした?」


震えるあたしの声を、香椎くんはひとつひとつ丁寧に拾い上げてくれた。

ブラウスのボタンを留めてくれる彼の手が優しくて、あまりに優しすぎて、それが余計に涙を誘う。


けれどその間にも、あたしのココロを蝕む不安の渦は、みるみる広がっていって。



「…あたしの、事…好き?」

「好きだよ。」

「あたしは、香椎くんの彼女だよね…?」

「もちろん。」

「……っ、じゃあ…っ!」


夕日が、答えを
あたしを焦らせてゆく。




「一番、好きなのは…?」


ねぇ、教えてよ。

温もり以外で、カラダ以外で
二人がもっと強く繋がる為にはどうしたらいいの?

この不安は、どうしたら消えてくれるの?


ちゃんと、証明してみせて。





「…いちばん…?」

あたしの言葉に、香椎くんの顔から笑顔が消える。

突然訪れた静寂が、あたしの不安を更に煽った。



「…香椎くん?」

「………。」

「…あたしが、一番じゃ…ないの?」