私の傷をまじまじと見つめる彼


その様子を黙って見つめる私



二人の間にしばらくの沈黙が流れた。





「傷が深いな。すぐに手当てをした方がいい」



そんな二人の沈黙を破ったのは、男の意外な言葉だった。


「え?」


もしかしてコイツ、この傷のことを心配してたのか?



私は男の意外な優しさに呆然と彼を見据える。





「なんだ、その間抜けな顔は?」



顔を上げ私の顔を見るなり、男はそう言い嘲笑った。



「わっ、私は間抜けな顔などしていない!!」


「ハッ、そう思ってんのはお前だけだろ?ほら、さっさと医務室に行くぞ」


男はそう言うと私に背を向け、屋敷の方へ進み出した。



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