すると青年は私の存在に気づいたのか、ゆっくりとこちらに目を向けた。
「……どうもぉ」
しばらく沈黙した後、ヘラッとした表情で手をだらしなく振る青年。
──そうか、これは夢じゃなかったのか……
…って………え……?
そう分かった時には
私は男の頬を思いっきり殴っていた。
「ッ、いってぇええぇ!!!」
青年の悲痛な声が部屋に絶え間なく響いた。
私の拳も殴ったせいでじんじんと痛む。
……コイツのせいで余計な力を使ってしまった。
「ッ、つぅ〜、ひでぇな。別に殴ることないじゃん」
青年は殴られた頬を押さえながら口を尖らせて私に向かって言う。
そんな青年に怒りを覚えた私は、青年の胸ぐらを乱暴に掴んだ。
「この状況で怒らない女がどこにいる……?」
「だからって……
アンタ、見た目は弱そうなのに意外に凶暴だなぁ……って、嘘ですッ!!ごめんなさい、許してくださいッ!!」
怒りで震えた私の拳を見て顔を青ざめた青年は、額に汗を浮かべて謝りだす。
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