私の目の前に広がっていたのは、
どこまでも続いてそうな広い丘と、その丘にそびえる大きな桜の木だった。
その桜は内側から主張するように光っており、蒼い月夜を背景に神秘的なオーラを出していた。
花びらはここから来ていたのか
私は桜の木にゆっくりと近づく。
そっと幹に触れてみると、ざらざらとした感触が私の手のひらに伝わった。
こんな桜、初めて見た…
私は冬の寒さなんか忘れて、その光輝く桜の木を見上げた。
舞い散る桜の花びらがまたもや私の頬を掠める。
このまま時が止まってしまえばいいのに──
そう思いふけっていた時だった。
『神子………』
突然、私の背後から男の声が聞こえた。
その声に、とっさに私は後ろを振り返る。
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