『…でも、本当…… 気を付けて下さいね。 …原田さん』 男はゆっくりと帽子のつばを上げ、顔を出した。 私は驚きのあまり、硬直したまま動けないでいた。 「………え…?」 「桐島に殺されたと思った?」 「だって……っ?!」 腹部に鋭い痛みと違和感を感じる。 ふと下に目をやると果物ナイフが深く刺さって服から血が滲み出ていた。 「……ぅ…っ」 「最後まで油断したら駄目だよ?」 山口君は微笑むと、 何食わぬ顔でゆっくりと歩き出した。