「痛…っ」 そんな事を考えながら歩いていた私は、通行人と体がぶつかり大きくバランスを崩した。 「きゃあっ」 『大丈夫ですか?』 深く帽子を被った同年代ぐらいの男性に体を支えられていた。 「すっ…すみません!ぼーっとしてて……」 私は男性から体を離し、頭を下げた。 『いえ、いいんですよ』 帽子で鼻から下しか見えないが、優しく微笑むその男性に好意が持てた。