「あ、もう時間だ…」 腕時計を見て呟いた。 「…菜穂子、私…絶対会いにいく!!」 「…うんっ 待ってるからね」 軽く抱き合い手を振り、後ろ姿が見えなくなるまで私はずっと眺めていた。 「帰ろ…」 永遠の別れじゃあるまいし…。 何だか妙に恥ずかしくなり、そそくさと来た道を戻り始めた。 また…仕事頑張らなきゃ あんなに嫌で退屈だった仕事だったのに、 平凡でも幸せだった…なとこの事件を通じて気付かされた。