遠くでサイレンの音が聞こえた。 「夜が…明けたね」 そっと私に寄り添い、肩を抱き締めてくれた。 「…菜穂…子」 窓から射す光が眩しくて、私はそっと涙を流した。 「おい…無事か?」 「っ…木村君」 木村君は春菜を抱えて部屋から出てきた。 「……春菜は?」 「…まだ…早く病院に…」 パトカーのサイレンがすぐ近くで止まった。 「っ…?」