朝は憂鬱だった。
昨日の電話が気になってしょうがない。


「おはよー」


学校では、またいつもと同じことを繰り返す毎日。


「騎士!!お前宿題やった??」

「宿題??・・・ぁ」


こんな平凡な毎日。
俺はコレで満足だったのに神は俺に試練を与えて苦しめた。


「騎士ぉ!!おっはよー!!」


俺の首に腕を回し抱きしめるように肩の上に顔を乗せるのは1人しかいない。


「良平重い...」


一輝だと思った人もいるであろう。
一輝は背が低いから俺の肩に頭を置くのはムリである。
良平は悪い悪いと舌を出して謝る。


「今日は部活遅刻するなよぉ??」


ポケットからアメを取り出して俺の前でブラブラさせる。
俺はそれを奪い取りポケットの中に入れる。


「分かってるっての...」

「ダメだ!!今日は叔父さんと遊ぶんだろ!?」


俺が言いかけたとき後ろから大声が聞こえた。
もちろん一輝。


「騎士・・・部活来ないの?!」

「叔父さんが昼に迎えに来るって!!」


驚いた良平に一輝が詳しく話す。
ぃゃ...叔父さんじゃないから。


「叔父さんとは遊ぶのに俺とは遊んでくれないんだな!!」


良平は俺の肩を揺らし大声で騒ぐ。
だから叔父さんじゃないし・・・遊ぶって言い方止めてくれ。



「騎士のバカぁ!!」


一輝も乗るな。

だんだん周りに女子が集まってきた。


「一輝クン今回も部活レギュラーに入ったって聞いたよ!!」

「おめでとぉ!!」


そう・・・昨日の部活で次の試合のレギュラーが決まった。
一輝はいつもと一緒でレギュラー入り。
俺??・・・俺はギリギリベンチ入り。


「俺はベンチが好きだからな」


良平は俺の肩に手を回し俺を慰めるような言葉を言ったが・・・きっと自分への言葉だろう。
良平も俺と同じでベンチ入り。
俺はさっき貰ったアメを取り出し良平に上げた。