『あ。母さん。』
「あら。紗羅。恭くんとは仲良くなれた?」
母さんはにっこりと笑って、そう言った。
『あたしの嫌いなタイプだよ』
そう言って帰ろうとした瞬間、母さんの悲しそうな顔が見えた。
母さんの悲しそうな顔を最後に見たのは、二年前のあの日以来だった。
母さんは確かにウザイけど、いつも見せるのは笑顔だけで、絶対に悲しそうな顔は見せない。
だから母さんの事を嫌いになれないんだ。
『あーもうっ。わかったよ!この人と仲良くすればいいんでしょっ』
「ありがとう、紗羅」
嬉しそうに微笑んだ母さんを見ると、この人と仲良くしてもいいかな。
と言う考えが浮かんだけど、彼の顔を見たらなんかムカついてきたからさっきのは無し。
やっぱり ムカつくものはムカつく。
そんな事を思いながら波乱の?お見合いは幕を閉じた。