「お、お、お、お前!
ね、猫被たのか!?」


『ぷ。噛みすぎ。
あんたはヘタレなんだね。』

「ヘタレって…俺ヘタレじゃねぇし…」


『あーあ。なんでお見合い相手、あんたみたいなむかつく奴なんだろ…』

「俺だって、お前みたいな女嫌いだっ!」

『ふーん。
あたしはあんたの事好きにならない自信あるよ』

ニヤリと笑ったら、彼は悔しそうに顔を背けた。


ん?


『…あ!』

「え?」



『あなた、宮中恭っ!』

宮中恭、今芸能界で最も話題のアイドル。
俳優としても活躍中で男性にも女性にも大人気。
モテモテなのに女性関係の噂が全く無い。

前に出演した映画の影響で王子様キャラと、言われ、世間で騒がれている。


「そうだけど。…気付かなかったのかよ?」

『うん。メガネを掛けてるせいかな?全然分からなかった』

「ふんっ」

恭は少し拗ねていた。

『はぁ…。それくらいでなに拗ねてんの。馬鹿じゃないの?』



『ガキ。』

そう言って、部屋を出ようとした瞬間、あたしが開けようとしていた扉が開いた。