騒がしい大人二人が出ていったせいで部屋が静まり返った。


…やることがない。


『あ、あの、携帯触るのそろそろ止めませんか?
なんか、お見合いしなきゃいけないみたいだし…』


「はぁ?知るかよ」

第一印象、最悪。


『じゃあ、何でこんな所に…?』

「親父に無理矢理連れて来られたんだよ」

第二印象、態度がでかい


『あ、あたしといっ【ピロピロリン】


あたしの話を遮るように、流行とはかけ離れた着信音が彼の携帯から流れ出した。

…ださ。


「はいはーい。…え、今?俺ちょー暇。なんかお見合いさせられてんの」

電話の相手と話している時、彼はチラッと私を見た。
なによ、とは言い出せないまま電話が終わるのを待った。


むかつく

あたしの頭の中はその言葉で埋め尽くされた。

なにあの態度…。
散々遅れてきたくせに謝りもしないで。

母さん達が勝手に仕組んだ事だけど!

今日は美雨とショッピングに行って、いっぱい愚痴を聞いてもらうつもりだったのに、その予定は潰れるし、まぁ約束してた訳ではないんだけど、
なんかこの男はむかつくし!


いつもの癖で貧乏揺すりをしてしまいそうだった。

…危ない危ない。

外でのあたしはお淑やかなレディ。

この本性が周りにバレると厄介な事になる。


堪えるのよ、紗羅。
こんな男に本性出してたまるもんですかっ!