高校生になって約3ヶ月が過ぎ、
初めは慣れなかった高校生活にも慣れ、やっと落ち着いたある土曜日の事。


涼しい風が吹くもんだから、
眠たくなっちゃいそう。
なんて呑気な事を考えていたら

事件は突然起こった。





『はあぁあぁあ?!』


「だーかーらー
言った通りだってばぁー。
貴女、明日お見合いするのよ」


私、桜井 紗羅。
只今絶体絶命のピンチを迎えております。


母さんが突然、お見合いをすると言い出した。

本っ当、何を考えているのか分からない人だ。



『お…お見合いって…
あたし、まだ16なんだけど…』


「いーのいーの、
紗羅のお見合いの相手、ママとパパのお友達だもん」

『ちょ、ちょっと!!!“だもん”じゃないっ!!』

いい年こいたおばさんが
“だもん”なんてありえない。

しかし、あたしの母は例外なのだ。
年齢と容姿が噛み合わない。


所謂、美人なのです。
…自分の親ながら悔しい。

「なんでよぉー」

『あたしは普通に恋がしたいわ』

「ママの親友だよ?」

…話が噛み合わない。
母さん、あたしの話ちゃんと聞いてた?



『母さんの親友がどうとかじゃなくて…!』

「そんなことより、
明日ちゃんとお見合い行くのよー」

母さんはあたしの言葉を完璧に無視して、呑気にバラエティー番組を見ながらポテトチップスを食べていた。

『…』

太るわよってツッコミを入れそうになったけど、堪えて言った。

『あたしお見合いなんて
絶対嫌だから!!』


ふざけるな!