成人してから健一は営業マンとして必死に働き母への仕送りをする。
紀代美は早々に結婚し、平凡な主婦として今も幸せに暮らしている。
やがて健一は自分で会社を経営し、数年が経過、知人の紹介により美和子と知り合い結婚。

美和子を妻として見た瞬間、母親のことを思い出し、どうにもならない感情が爆発して酒を飲んだりした拍子に今回のような結果を招いてしまうのだと。


『何故、お母さんなのです?健一さんが憎んでいるのはお父さんではないのですか?』


町村の質問に、健一は面食らったようだ。 考えもつかなかった、というような笑みを向けてこう言い放った。


「何故、父が憎まれなければならないのでしょうか。」