美和子の説得により大西健一が病院へ訪れたのは、一ヶ月も経ってからだった。

健一が美和子へ暴力を奮い、美和子が逃げた後、精神安定剤や睡眠薬の類いをアルコールで大量に流し込み、救急車で運ばれた。

こんなことは以前から繰り返してきた健一ではあったが流石に自分でも治す道はないのかと美和子に救いを求めたところ、ようやく町村医師の話しを持ち出すことができたのだ。

病院にやってきた健一は、焦点の定まらない視線を何度も手で拭いながら、町村に尋ねた。

「先生、僕の話しを聞いてもらえますか?」