「まあ、これでもいつかはカミングアウトをしようと思ってたのよ?」

それでも慰めているのかと言いたくなるくらいの浮かれた声で、七海が言った。

「とにかく、黙ってごめん」

それでも謝っているのかと言いたくなるくらいの浮かれた声で、金田くんが言った。

「あー、よかったね…」

我ながら感情のない声で、あたしは言った。

だって、どうすることもできないんだもん。

「とりあえず、お幸せに…ね?」

最後は何で疑問形かはツッコミはなし。

と言うか、受けつけません。

「ん、ありがとう」

七海が幸せそうに微笑んだ時、パコッと頭をたたかれた。

七海も金田くんも、同じ衝撃を受けたらしい。

「仕事しなさい」

振り返ると、書類片手に苦笑している淳平がいた。

あ、そう言えば東雲主任はハネムーンの最中だった。