{霧の中の恋人}


私達の間に、気まずい空気が流れる。


どうしよう…

やっぱりタクシーを呼んで待つべき?


でも、久木さんの体調も気にかかる…。


まだ顔色もよくないし、一刻も早く休ませてあげたほうがいいよね…。


こんな寒空のもと、いつ来るか分からないタクシーを待ち続ければ、身体にこたえることは明らかで……


でも、休ませるって言ったって、この辺に喫茶店はないし…


ホテルっていったって、ラ、ラブホテルな訳で…



グルグルと考えが回り、もう何が何だか分からなくなってくる。



何だか、私も頭痛くなってきたかも…。


混乱する頭を抱えると、隣の久木さんが口を開いた。


「…海沿いなら、他にも宿泊施設があるかもしれない…
とにかく歩いてみよう…」



「そ、ソウデスね!!」


まるでロボットのように不自然な返事をした私。

動揺しているのが丸分かりだ。